蝶々結びをすると、なぜか輪が左右ではなく上下を向いてしまう。
何度結び直しても同じように縦になると、「自分は蝶々結びが苦手なのかな」と思ってしまうかもしれません。
しかし、毎回ほぼ同じ形で縦になるなら、手先の器用さよりも結ぶ途中の向きが関係している可能性があります。
直すときのポイントは、結び方を全部覚え直さないことです。
最初のひと結びか、その後に輪へ紐を回す方向のどちらか1か所だけを変えて確認します。
この記事では、「蝶々結びが縦になる」という人が、自分の結び方を1か所ずつ確認しながら横向きへ直す方法を紹介します。
まず完成した蝶々結びの向きを確認する
最初に、今の蝶々結びがどのような形になっているか確認しましょう。
この記事では、靴紐を正面から見たとき、蝶々の輪が靴のつま先・かかと方向へ向いている状態を「縦結び」と呼びます。
「縦結び」という言葉の使われ方は資料などによって異なるため、結び目の構造名である「グラニーノット」と完全に同じ意味ではありません。
靴紐の場合は、靴のつま先を前に向けた状態で見てみましょう。
| 見え方 | 確認の目安 |
|---|---|
| 2つの輪が靴の左右方向へ広がる | 結び目が比較的平らに収まっている |
| 輪がつま先側・かかと側へ向く | 結び目がねじれている可能性がある |
| 輪が大きく斜めになる | 交差方向・紐のねじれ・左右の長さなどを確認する |
ただし、横向きなら絶対に正解、縦向きなら絶対に失敗という意味ではありません。
リボンなどでは縦向きでも用途上困らないことがあります。
また、靴紐が横向きに結べていても、結び目が緩い、輪が長すぎる、紐が傷んでいるといった場合には、ほどける可能性があります。
最初に試すのは「ひと結びだけ逆」にする方法
毎回同じ方法で蝶々結びをしていて、毎回ほぼ同じ方向へ縦になる場合は、まず最初のひと結びだけ変更してみます。
たとえば普段、最初に
右の紐を左の紐の上へ重ねて結んでいる
のであれば、次は
左の紐を右の紐の上へ重ねて結ぶ
ようにしてみます。
ここでいう「上」とは、紐を交差させたときに、手前から見て上に重なっている側を指します。
手の位置や見る方向によって分かりにくい場合は、赤と青など色の違う2本の紐を使って確認すると分かりやすくなります。
重要なのは、その後の蝶々を作る動作は変えないことです。
変更するのは最初の1か所だけです。
そのまま普段どおり蝶々結びをして、完成した輪の向きを確認してください。
横向きになったら、その結び方を覚える
最初のひと結びを逆にしただけで輪が左右へ広がったなら、それが今の自分の手の動きに合った組み合わせです。
すべての手順を新しく覚える必要はありません。
「いつもの蝶々結び+最初だけ逆」
と覚えておけばよいでしょう。
最初を逆にしたのに形が変わらないときは確認する
最初のひと結びを本当に逆にしているのに、完成した形がほとんど変わらない場合は、すぐに別の結び方へ進まず、まず手順を確認します。
- 後半の手順まで無意識に変わっていないか
- 最初の交差が実際には逆になっているか
- 紐そのものがねじれていないか
- 左右の紐の長さが大きく違っていないか
- 最初の結び目が中央から大きくずれていないか
一度だけでは分かりにくい場合は、同じ条件で2〜3回試してみると、自分の手順を確認しやすくなります。
それでも直らない場合は、最初のひと結びを元の方法へ戻し、今度は後半の工程だけ変更して試します。
次に試すのは「後半の巻き付け方向だけ逆」
最初のひと結びを元へ戻したら、次は蝶々を作る後半の工程を確認します。
一般的な蝶々結びでは、
- 片方の紐で輪を作る
- もう一方の紐を輪の根元へ回す
- 中央にできた穴へ紐を通して、もう一つの輪を作る
という動きをします。
このとき、輪の根元へ紐を回す向きだけを普段と逆にしてみます。
普段、手前から奥へ回しているなら奥から手前へ回す、というように、変更するのはこの工程だけです。
ただし、「手前」「奥」は見る方向によって分かりにくくなるため、実際には色の違う紐を使い、普段どちらへ回しているかを確認してから逆にする方法がおすすめです。
最初と後半を同時に変更しないことも重要です。
最初のひと結びと後半の巻き方向を同時に変えると、2つの変更が打ち消し合い、縦になる組み合わせが残る場合があります。
色の違う紐を使うと結び方を確認しやすい
文章だけで「右を上」「左を下」と考えていると、途中でどちらだったか分からなくなることがあります。
そこで練習するときは、
- 右側の紐=赤
- 左側の紐=青
のように、左右で色の違う紐を使うと確認しやすくなります。
2本の太めの紐やリボンを使って机の上で練習しても構いません。
その場合も、実際に靴を正面から見たときと同じようになるよう、左右の紐の位置を固定して置いてください。
重要なのは、最初の交差と後半の巻き付け方向を自分の目で確認できることです。
なぜ蝶々結びが縦になるの?
一般的な蝶々結びは、大きく分けると2段階でできています。
- 左右の紐を交差させて、最初のひと結びを作る
- 輪を1つ作り、もう一方の紐を輪の根元へ回して、中央にできた穴へ通す
この2段階の組み合わせによって、結び目が平らに収まりやすい形と、ねじれやすい形に分かれます。
ねじれた状態になると、蝶々の輪も左右ではなく縦や斜めへ向きやすくなります。
そのため、完成後に輪を無理やり回すより、結び目を作る途中の1か所を変更する方が原因を確認しやすくなります。
「縦結び」とグラニーノットは同じもの?
靴紐について調べると、「グラニーノット」という言葉を見かけることがあります。
ここは区別して考えましょう。
この記事でいう「縦結び」は、完成した輪が靴のつま先・かかと方向へ向いている見た目を表しています。
一方、グラニーノットは結び目の構造を表す名称です。
靴紐の蝶々結びが縦や斜めに傾き、結び目自体もねじれている場合は、弱いグラニーノット系の構造になっている可能性があります。
ただし、輪が縦を向いているという見た目だけで、すべてをグラニーノットと判定できるわけではありません。
紐の素材・長さ・ねじれ・左右のバランスなどによっても完成形は変わります。
靴紐ではほどけやすさに違いが出る場合もある
カリフォルニア大学バークレー校の研究者らは、2017年に靴紐の結び目がほどける仕組みについて研究結果を発表しました。
研究では、弱いグラニーノット系の結びと、より安定したスクエアノット系の結びを比較しています。
歩行や走行では、
- 靴が地面へ着地するときの衝撃
- 脚を前後に振ることで生じる、靴紐の自由端の慣性と振り動作
が結び目のほどけ方に関係します。
一般向けに言えば、着地の衝撃に加えて、足を振ることで靴紐の先端が慣性で振られる動きが重なるということです。
この研究条件では、弱い構造の結びの方が、強い構造の結びより早く緩み、ほどけやすい結果が示されました。
ただし、これは「縦向きに見える靴紐なら必ずほどける」という意味ではありません。
実際のほどけやすさは、紐の素材・長さ・締め方・靴の種類などによっても変わります。
靴紐をさらにほどけにくくしたい場合
運動時など、靴紐がほどけること自体をできるだけ防ぎたい場合は、蝶々結びの向きとは別に追加の固定方法を使う選択肢もあります。
警視庁では、蝶結びをしたあと、左右の輪を持ってもう一度片結びする方法を紹介しています。
警視庁は、この方法を激しい運動をしてもほどけにくい靴紐の結び方として紹介しています。
ただし、固く結びすぎると脱ぎにくくなるため、用途に合わせて使い分けてください。
完成後に90度回せば直ったことになる?
縦になった蝶々結びを完成後に手で横へ回すと、一見きれいに見える場合があります。
形を整えるために、輪の長さや向きを少し調整すること自体は問題ありません。
ただし、結び目全体を単に90度回転させただけでは、内部の交差関係そのものは変わりません。
毎回同じように縦へ戻る場合は、完成後だけでなく、最初または後半の結び方向を確認してみてください。
それでも横向きにならないときに確認したいこと
左右の紐の長さが大きく違っていないか
片方だけ極端に短いと、完成した輪の大きさもそろいにくくなります。
最初に左右の長さを近づけてから結びます。
紐自体がねじれていないか
平たいリボンや幅のある靴紐は、途中でねじれているだけでも完成形が斜めに見える場合があります。
紐を伸ばし、ねじれを取ってから結び直してみてください。
最初の結び目が中央からずれていないか
最初のひと結びが左右へ大きくずれていると、その後の蝶々も傾きやすくなります。
一度中央で締めてから輪を作ります。
一度に2か所を変更していないか
最初のひと結びと後半の巻き方向を同時に変更すると、どちらが完成形へ影響したのか分からなくなります。
また、2つの変更が打ち消し合って、縦になる組み合わせが残る場合もあります。
変更するのは1回につき1か所だけにしましょう。
リボンやエプロンにも考え方を応用できる
今回の考え方は、靴紐以外の蝶々結びにも応用できます。
エプロンの紐やプレゼント用のリボンなどでも、毎回同じように縦や斜めになるなら、結ぶ途中の1か所だけを変えて確認してみましょう。
ただし、幅の広いリボンや片面に光沢があるリボン、滑りやすい素材では、結び方以外の影響で完成形が変わることがあります。
その場合は、交差方向だけでなく、紐のねじれや輪の長さもあわせて調整してください。
まとめ|蝶々結びが縦になるなら1か所ずつ確認しよう
蝶々結びが毎回縦になる場合でも、すべての手順を最初から覚え直す必要はありません。
まずは次の順番で試してみてください。
- 現在の完成形を確認する
- 最初のひと結びだけ逆にする
- 後半の蝶々結びは変えずに完成形を見る
- 形が変わらなければ、手順・紐のねじれ・左右の長さを再確認する
- それでも直らなければ元へ戻し、後半の巻き方向だけ変える
大切なのは、一度に変更するのは1か所だけということです。
そうすれば、自分の結び方のどこを変えると形が整うのか確認できます。
靴紐の場合は、結び目が縦や斜めにねじれていると、弱いグラニーノット系の構造になっている可能性もあります。
ただし、輪の向きだけですべてを判断できるわけではありません。
「蝶々結びが縦になる=不器用」と考えず、まずは自分の結び方を1か所ずつ変えて確認するところから試してみてください。