経済

連合『賃上げ5%以上』要求に現実無視の声も【炎上覚悟】

本記事は報道各社の一次情報に基づき構成しています。

「給料が上がらないなら、節約すればいいじゃない?」

まるでそんな声が聞こえてきそうな、連合の2026年春闘に向けた「5%以上」の賃上げ要求。3年連続となるこの高水準な目標は、物価高に苦しむ私たちにとって一筋の光に見えるかもしれません。しかし、その裏でSNSでは「現実が見えていない」「中小企業を潰す気か」といった厳しい声が噴出しています。

ゆい

「5%以上」って聞くとスゴイ!って思うけど、本当にみんなの給料がそんなに上がるのかな…?去年も同じくらい上がったはずなのに、生活が楽になった実感がないのはどうしてなんだろう?

この記事では、そんな「賃上げ5%以上」要求のニュースを深掘りし、なぜ期待と不安の声が渦巻いているのか、その背景に迫ります。

この記事でわかること

  • 連合が発表した「賃上げ5%以上」要求の具体的な内容
  • この要求に対する世間のリアルな反応(賛成・反対・ユニークな意見)
  • なぜ「賃上げは嬉しいはずなのに」炎上してしまうのか、その構造的な問題
  • 私たちの給料と生活の行方

そもそも何が起きた?連合の「賃上げ5%以上」要求とは

まず、事の経緯を整理しましょう。

労働組合の中央組織である「連合」は2025年10月23日、2026年の春闘(春季生活闘争)で、企業に対して従業員の賃金を「5%以上」引き上げるよう要求する基本構想をまとめました。 この「5%以上」という目標は、2024年、2025年に続き3年連続となります。

この要求のポイントは以下の通りです。

  • 全体の目標: 定期昇給分とベースアップ(ベア)を合わせて「5%以上」の賃上げ。
  • ベア目標: 給与水準そのものを引き上げるベースアップ分として「3%以上」を求める。
  • 中小企業への配慮: 大手との格差是正を目指し、中小企業に対してはさらに高い「6%以上」を要求。
  • 非正規労働者: パートタイマーなど非正規で働く人々については、初めて具体的な数値目標として「7%」の賃上げを掲げました。

連合の芳野友子会長は「着実に5%以上を積み重ねていくことが重要だ」と述べ、物価高騰が続く中で労働者の生活を守り、賃上げの流れを社会全体に定着させる強い意志を示しています。

しかし、2年連続で5%台の賃上げが実現したにもかかわらず、私たちの実質賃金はマイナスが続いているのが現状です。 つまり、給料の上がり幅よりも物価の上昇ペースが速く、実質的に買えるモノやサービスの量は減っているのです。 この「実感なき賃上げ」が、今回の要求に対する複雑な世論を生み出す土壌となっています。

世間の反応は?賛否両論まっぷたつ!

連合の発表を受けて、SNSやニュースのコメント欄はまさに賛否両論、様々な意見で溢れかえりました。ここでは、その主な声を分かりやすく表にまとめてみました。

意見のタイプ 具体的な声(要約)
賛成・期待 「物価がこれだけ上がっているのだから当然の要求」「むしろ5%でも足りないくらいだ」「非正規の賃上げ目標を明記したのは大きな一歩」「これを機に賃上げが当たり前の社会になってほしい」
反対・批判 「中小企業の実情を無視している。倒産しろとでも言うのか」「価格転嫁ができないのにどうやって原資を捻出するんだ」「連合は大手企業の組合員しか見ていない」「結局、大企業と公務員だけの話でしょ」
冷笑・諦め 「どうせ実現しない『お約束』」「数字だけが独り歩きしている」「実質賃金が上がらないと意味がない」「また『賃上げしました(物価はもっと上がりました)』のパターン」
ユニークな視点 「賃上げも大事だが、それ以上に社会保険料や税金の負担を軽くしてほしい」「生産性を上げずに賃金だけ上げるのは無理がある」「企業の内部留保を賃金に回すべきだ」

このように、立場によって全く異なる反応が見られます。特に、経営者や中小企業で働く人々からは悲鳴に近い声が上がっており、賃上げの原資確保の難しさを訴える意見が目立ちます。

なぜ炎上?「賃上げ5%」が手放しで喜ばれない3つの深層

給料が上がるという話は、本来なら誰もが喜ぶはず。それなのに、なぜこれほどまでに批判や冷めた意見が出てしまうのでしょうか。その背景には、日本社会が抱える根深い3つの問題があります。

1. 消えない「大企業 vs 中小企業」の深刻な格差

最も大きな要因は、日本企業の99%以上を占める中小企業と、体力のある大企業との間にある圧倒的な「体力差」です。

連合の要求は、いわば労働界全体の目標です。しかし、実際に高い賃上げを実現できるのは、業績が好調な一部の大企業に限られるのが現実です。 中小企業の多くは、原材料費やエネルギーコストの高騰に苦しんでおり、それを製品やサービスの価格に十分に転嫁(価格転嫁)できていません。 そんな状況で「6%以上の賃上げを」と言われても、多くの経営者は「無理だ」と頭を抱えるしかありません。

この構造がある限り、春闘での賃上げは「大企業と中小企業の格差をさらに広げる結果になる」という批判から逃れられないのです。

2. 「名目賃金」と「実質賃金」のねじれ

「賃上げ率は過去30年で最高水準!」と報道されても、多くの人が生活の向上を実感できないのは、「実質賃金」が上がっていないからです。

  • 名目賃金: 実際に受け取る給料の額面。
  • 実質賃金: 名目賃金から物価の上昇分を差し引いた、実質的な購買力を示す指標。

計算式は単純で「実質賃金 ≒ 名目賃金の上昇率 ー 物価上昇率」です。

つまり、給料が5%上がっても、物価が6%上がってしまえば、実質賃金はマイナス1%となり、買えるものはむしろ減ってしまうのです。

近年の日本ではまさにこの状況が続いており、「給料は上がったはずなのに、なぜか生活は苦しい」という国民の実感と、政府や連合が発表する「賃上げムード」との間に大きな溝が生まれています。この溝が、賃上げのニュースに対する不信感や冷笑的な態度の温床となっているのです。

3. 構造的な「労働生産性の低さ」という課題

長期的な視点で見ると、賃金を持続的に上げていくためには、従業員一人ひとりが生み出す付加価値、つまり「労働生産性」の向上が不可欠です。

しかし、日本は長年、他の先進国と比較して労働生産性の低さが課題とされてきました。少ない人員で長時間労働をせざるを得ない状況や、新しい技術(例:生成AIなど)の導入が遅れ、旧来の非効率な働き方が温存されている企業も少なくありません。

企業からすれば、生産性が上がらない中で人件費だけを上げ続けるのは経営を圧迫するだけです。 労働者側も、ただ賃上げを要求するだけでなく、どうすれば会社全体の生産性を上げ、賃上げの原資を生み出せるのか、という視点を持つことが求められています。この根本的な課題を抜きにして、要求の数字だけが議論されることに、多くの人が虚しさを感じているのかもしれません。

まとめ

この記事のポイント

  • 連合は2026年春闘で、3年連続となる「5%以上」という高い賃上げ目標を掲げた。
  • しかし、多くの中小企業はコスト増と価格転嫁の困難さから賃上げ余力がなく、世間からは「現実離れしている」との批判も多い。
  • 賃上げ率が物価上昇に追いつかず「実質賃金」がマイナス続きであることが、国民の不満と不信感の大きな原因となっている。

今回の連合の要求は、物価高に苦しむ労働者の生活を守るための重要な一歩であることは間違いありません。しかし、その高い理想と、多くの中小企業が直面する厳しい現実との間には、大きな隔たりがあります。

この問題を解決し、誰もが賃上げの恩恵を実感できる社会を実現するためには、単に企業に賃上げを要求するだけでなく、政府による中小企業支援(価格転嫁の促進や補助金など)や、社会全体の生産性を向上させるための構造改革が不可欠です。

私たちの給料の行方は、春闘の数字だけでは決まりません。社会全体の構造が変わらない限り、「令和の絵に描いた餅」は、来年も再来年も繰り返されることになるでしょう。あなたはこの「5%以上」の要求、どう考えますか?

出典: 時事通信・Yahoo!ニュース・みんかぶ・ライブドアニュース・エキサイトニュース・その他各種報道(2025年10月23日報道)

本記事は公式サイト・各サービス公式情報を参照しています

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